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2025.9.15
コロナ前と比べると、建築費はすでに3割以上値上がりしました。
しかも建築資材の価格は、いまもなお上昇傾向にあります。
こうした状況の中で、もしご実家に利用できる土地がある方は、
それを活用するという選択肢が、以前よりも現実味を帯びてきているのではないでしょうか。
土地を新たに購入しなくて済むということは、
その分、家づくりに充てられる予算にゆとりが生まれるのは大きな利点です。
もっとも、それは「そのまま建てられる土地」の場合に限った話です。
実際には古い建物を取り壊して建て直すか、
農地を造成して宅地に変えて建てるか、
そのいずれかになるケースが大半です。
そして、どちらにしても一定の費用が必要となることは避けられません。
今回はこのうち「農地を造成して家を建てる場合」について、
注意点と費用面を整理してお伝えしたいと思います。
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✔️ まずは地域を確認する
農地を宅地に変えるにあたり、最初に確認していただきたいのは、
その土地が「市街化調整区域」かどうかです。
市街化調整区域とは、農業を推進する地域。
原則として宅地化が難しいため、家を建てるには大きなハードルとなります。
まずは親御さんに確認いただくか、市役所で調べてみてください。
加えて、「農業振興地域」に指定されていないかどうかも大切です。
もし指定地域に含まれている場合は、農地転用の前に「除外申請」が必要になります。
しかもこの申請は年に2回しかなく、受理までに半年かかるのが通常です。
結果、造成工事が始められるまでに最短でも8ヶ月、場合によっては1年以上かかることもあります。
したがって、農地の活用を検討されるのであれば、
事前調査を早めに進めておくことを強くおすすめいたします。
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✔️ 宅地にするための費用
次に費用についてです。
まず必要となるのが、農地転用の申請費用。
行政書士や土地家屋調査士に依頼して、測量・分筆を行ったうえで申請します。
ここでおおよそ50万円程度を見込んでおくと安心です。
続いては水道の引込工事と加入金。
農地には水道が引かれていないため、前面道路から引き込みが必要になります。
これも目安として50万円前後。
ただし、前面道路に水道管がない場合は遠方から引き込む必要があり、
その場合は100万円単位で追加費用がかかる可能性があります。
事前に市役所で調査しておくと良いでしょう。
そして本題の造成費用です。
擁壁基礎の工事費、土の処分費、新たな土の搬入費が必要になります。
おおよその目安は「造成する坪数 × 3〜4万円」。
たとえば60坪の農地であれば180〜240万円、
80坪なら240〜320万円ほどがかかる計算です。
つまり、農地を宅地に変える場合、
申請費用・水道引込費用・造成費用を合わせると、
これらが追加で必要になってくる、ということになります。
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以上が、農地に家を建てる際の大まかな流れと注意点です。
「実家の田んぼや畑を使わせてもらおう」とお考えの方には、
ぜひ参考にしていただければと思います。
なお、排水処理など他にも個別の課題が出てくる場合があります。
その点については、実際の計画を伺いながら、案件ごとにご提案させていただきますので、
どうぞお気軽にご相談ください。