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2025.7.7
【一生暮らすつもりなのに】
家を建てる際、
「ずっとそこで暮らすつもりなのか」
「いずれ売却する可能性があるのか」によって、
土地の選び方や家の設計は大きく変わってきます。
もし「一生住み続ける」とお考えであれば、ご自身の価値観を
存分に反映させた住まいにすることをおすすめいたします。
土地の向きや日当たりに極端にこだわる必要もなく、
心地よく、自由な発想でプランを考えることができるからです。
一方で、「将来的には売却も視野に入れている」という場合には、
できるだけ多くの方に受け入れられやすい“普遍的な住まい”を
目指すことが大切です。
たとえば、日当たりの良い南向きの土地を選ぶ、
間取りも一般的に好まれやすいものにしておく、などがその一例です。
また、家そのものについても、売却を見据えるのであれば
「長期優良住宅」として建てておいた方が、
将来的な資産価値の下落を抑えることができます。
逆に、一生その家に住むつもりであれば、
必ずしも長期優良住宅の認定にこだわる必要はない場合もあります。
「長期優良住宅」は、長く快適に住み続けられる設計であることを
示す制度であると同時に、
「価値が落ちにくい家」にするための基準でもあります。
つまり、「売りやすさ」「固定資産税の評価」などに関わってくるわけです。
このように、「ずっと暮らすつもりなのか、それとも売却を考えているのか」によって、
家の内容も土地選びも大きく方向性が異なるという点は、
ぜひ知っておいていただきたいポイントです。
では次に、将来の売却を意識した家づくりでは、
どのような費用が上乗せになりやすいのかについて、
少し具体的に見てみましょう。
まず、最もわかりやすいのが「土地価格」です。
人気の高い南向きの土地は、価格も相応に高くなります。
加えて、将来の人口減少リスクが少ない、
あるいは人口が増える見込みのあるエリアを選ぶ必要もあるため、
そもそも土地の坪単価が高くなりがちです。
次に、建物にかかる費用です。
売却時の市場価値を考えると、一定の広さと部屋数が求められる傾向があり、
そのぶん建築コストも上がっていきます。
また、南向きの土地に合わせて南向きに窓を設ければ、
直射日光への対策として、
カーテンやシャッターなどのオプション工事も増えることになります。
「長期優良住宅」の仕様自体は、建築費を大きく左右するものでは
ありませんが、認定取得のための手続きや申請費用が別途発生するほか、
認定後も定期的なメンテナンスが必要となり、その都度費用がかかってきます。
外構工事の面でも、南向きの庭は通りからの視線が気になりやすいため、
目隠しフェンスや植栽などの対策が必要になります。
ウッドデッキを設ける場合にも、
プライバシー確保のための工夫が必要になり、それに応じた費用もかかります。
さらに、土地価格が高いエリアを選べば
当然固定資産税の負担も大きくなりますし、
長期優良住宅でかつ延床面積が広い家となれば、
家屋にかかる固定資産税も相応に高額となるでしょう。
このように、将来的な売却を前提とした家づくりは、
結果的に“全体の費用が大きく膨らむ”という特徴があります。
✔️「ずっと住む」ことが前提なら
ところが実際には、「将来売却する予定はない」とおっしゃる方の多くが、
あたかも売却前提であるかのような家づくりをされていることが少なくありません。
土地の日当たりや向きにこだわり、
家の間取りや広さにもこだわった結果、
土地・建物ともに割高な選択をしてしまい、
その副次的な要素として、オプションや外構にも多くの費用がかかってしまう。
その結果、ローン返済に負荷がかかり、
暮らしに余裕がなくなってしまう――というケースを、
これまで数多く見てきました。
もちろん、これらは世の中では“当たり前”とされている
家づくりの常識に沿ったものかもしれません。
けれども、「ずっとそこで暮らす」ことを前提に、
ひとつひとつを見直していくと、
実はその“当たり前”が本当に自分たちに合っているのか、
改めて立ち止まって考えていただく価値があるのではないかと感じています。
ですから、これから家づくりをご検討される皆さまには、
ひとつの価値観だけにとらわれず、
「家づくりには色々な考え方や形がある」ということを、
ぜひ知っていただきたいのです。
その上で、ご自身やご家族にとって最適な住まいの形を、
一緒に見つけていけたらと願っております。
それではまた。