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2025.11.10

家づくりのコスト削減法(建築編)
家づくりのコストを抑えたいと考えたとき、
まず思い浮かぶのが「使う材料を変える」「グレードを下げる」などの方法ではないでしょうか。
しかし実際のところ、こうした方法は“妥協した割に効果が薄い”ケースもあるのです。
そのため、まず「面積の見直し」を優先して考えることも一つの案です。
< 「材料を変えれば安くなる」とは限らない>
たとえば、床材を無垢材から複合フローリングに変更すれば
「かなりコストが下がる」と思われがちですが、
実際には期待の半分も安くならないことが多いのです。
選ぶ素材によっては、ほとんど価格差がない場合もあります。
また、断熱材も同様です。
見た目の性能値(数値上の断熱性能)は同じでも、
実際に暮らしてみると「体感温度」や「快適さ」に大きな差が出ることがあります。
数字だけでは分からない“住み心地の差”がそこにあるのです。
つまり、「安くしたいから」と材料の質を落とすことは、
最終的に満足度を下げてしまう可能性があるということです。
では、どこを削減すべきか?
だからこそ、私たちがまず見直してほしいと考えているのが「面積」です。
とはいえ、家を小さくすると聞くと、 収納が足りなくなるのでは?
使いにくくなるのでは? 小さくて見劣りするのでは?
といった不安が頭をよぎりますよね。
そこで今回は、その不安を少しでも解消するために、
面積を縮小しながらも暮らしやすい家を実現するための考え方をお伝えします。
まず見直すべきは「なくても困らない空間」 面積を減らすというよりも、
“無駄に広くしないための工夫”をすることが大切です。
まず見直したいのが、「廊下」です。
家づくりの打ち合わせで、 「どうしても廊下が欲しい」とおっしゃる方はほとんどいません。
おそらくあなたも、「廊下が絶対必要」とまでは思っていないのではないでしょうか。
「廊下」はコストも上がり、快適性も下げる 実は廊下も、
他の部屋と同じように 基礎・床・壁・天井・屋根といった構造体でつくられています。
つまり、「通るだけの空間」にも、部屋と同じだけコストがかかっているのです。
さらに廊下があることで、 室内ドアの数が増え(1本あたり6〜7万円)、
空気の流れが遮られ、
冷暖房効率が悪くなる室内の温度差が生じ、
快適性が損なわれるといったデメリットも生まれます。
本来、高性能住宅の魅力は「家全体を均一な温度に保つ」ことにあります。
廊下が多いとその性能を十分に発揮できなくなってしまうのです。
< 廊下を減らす最良の方法は「平屋」>
廊下を最小限にするための最も効果的な方法は、**「平屋にすること」**です。
2階建てにすると、どうしても
各部屋へ行くための通路(廊下)が増える
「階段」という新たなスペースが必要になる
という問題が出てきます。
特に階段は、廊下以上にコストがかかるうえ、
上下階の温度差を生む原因にもなります。
快適な温度環境を保つためには、 空調を循環させるシステムを追加する必要があり、 結果的にさらなるコストアップにつながるのです。
コスト削減の基本は「シンプルな動線」 ですから、
家づくりの第一歩としては、 「平屋を基本に考える」こと。
そして、「階段をなくし、廊下をできるだけゼロに近づける」こと。
これだけでも、建築コストを大きく抑えることができます。
<まとめ>
家づくりのコストを削減するうえで、 まず見直すべきは“使わない空間”を減らすこと。
見た目や素材を妥協する前に、 「本当に必要な面積」を見極めることが大切です。
次回は、面積縮小のもう一つの鍵である**「部屋数」**について、 より具体的にお話ししていきたいと思います。 それではまた次回。
