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家づくりのコスト削減法(建築編4)

2025.12.1

家づくりのコスト削減法(建築編4)

「収納は多いに越したことはない」
これは、家づくりを考え始めた時に多くの方が抱かれるお考えではないでしょうか。

現在のお住まいで収納が不足し、
片付けがうまくいかなかったり、
物が部屋にあふれて圧迫感を感じていると、
新しい家では「収納をたっぷりつくろう」と思われますよね。

また、すでに家を建てたご友人から
「もっと収納をつくっておけばよかった」と聞くと、
余計にそう感じてしまうことと思います。

しかし、収納を増やしすぎると
面積が増えて建築コストに直結するだけでなく、
ローンの負担が増え、貯蓄(積立投資)に回せる資金を圧迫してしまいます。
さらに、作り方を誤ると、
「コストは増えたのに収納量はほとんど増えていない」
ということすら起こりえます。

ですから、まずは「収納の正しいつくり方」を知ることが大切です。

収納は「量」よりも「管理のしやすさ」

収納を考える際に、まず意識したいのは
“管理しやすく取り出しやすい収納であるかどうか” です。

一般的な収納の奥行きは 91cm でつくられることが多いのですが、
実際に持ち物の多くは その半分の奥行きで収まります。

奥行きが深すぎる収納は、
手前に物を置くと奥に何があるか分からなくなり、
「使わない物が眠り続ける収納」になってしまいます。

そこで、奥行きを半分にし、代わりに横幅を2倍にしてみると、
床面積は変わらないまま、収納量は約2倍に増やせます。
しかも奥の物が見えにくくなることもなく、管理が格段にしやすくなります。

さらに、天井高(2m40cm)を活かして棚板を増やせば、
収納量はもう一段階増やせます。

棚板を2枚にすると余白が生まれますが、
棚板を5枚にすることで、
壁面全体を無駄なく使い切った収納にすることができます。

 

数字で見てみると、

 

 

作り方 (サイズ)              納量(m)

奥行き91cm × 幅91cm × 棚板2枚  → 約2.7m分

奥行き半分 × 幅2倍 × 棚板5枚   → 約10.9m分(約4倍)

 

 

 

同じ床面積でも、つくり方でこんなに差が生まれるのです。

ですから、収納は「床」ではなく 「壁」を増やす意識が重要になります。

✔ 通り抜け動線は収納量を減らす

次に覚えておきたいのが、
通り抜け動線を設けると収納量が大きく減るということです。

例えば、3帖の収納には本来、
約5.2m分の壁面収納がつくれます。

しかし、通り抜けができるようにすると、
出入口と通路が必要になるため、
使える壁がほぼ半分に減ってしまいます。

さらに、

  • ドアが増えるため建材コストが上がる
  • スイッチを2箇所にしたり、センサーライトが必要になる

といった追加費用も発生します。

つまり、
通り抜け動線は「便利さ」と引き換えに、収納量とコストを犠牲にする設計なのです。

採用する際は、
「本当に通り抜けが必要か?」
という視点を忘れないようにしていただきたいと思います。

まとめ

収納は「多ければ良い」というものではなく、
使いやすく、管理しやすく、無駄がないことが大切です。

闇雲に床面積を広げると、

  • コストは増える
  • 収納量は増えない
  • 使い勝手も悪くなる

という本末転倒な結果も生まれます。

ぜひ、設計に入る前に
収納の正しい見方とつくり方を理解していただければと思います。

それでは、また次回。

 

 

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